ボクはハンバーグが苦手サメ。理由はお母さんがよく作ってた料理だからサメ。ボクのお母さんが作るハンバーグはお肉を捏ねて成形した後、熱々のオーブンに入れて1時間くらい焼いたカチカチの何の味もしないハンバーグだったサメ。別にそれが嫌いだからってわけじゃないサメ。ボクの家ではハンバーグは夕飯に出て来る料理だったサメ。そしてボクの家の夕飯は家族が集まって一緒のタイミングで一緒に食べなきゃいけない時間だったサメ。それがどんなに苦痛だったか。ボクの両親は顔を合わせる度にいつも喧嘩していたサメ。お父さんはいつもお母さんの料理に文句を言っていて、共働きで忙しいのに作ってくれたハンバーグにもいつも硬いとか1番大きいやつを寄越せとか威張り散らしてたサメ。そればかりかお父さんは家族の言動が自分の気分に合わないと怒鳴ったり脅したりするひとだったサメ。小さなボクは両親には逆らえないし、大嫌いなお父さんのご機嫌を何で自分が取らなきゃいけないんだろうとか、どうして理不尽なことでお父さんがボクを怒鳴りつけるのにお母さんは一言も庇ってくれないんだろうとか、お父さんの機嫌を取るのが上手いお姉ちゃんは真っ先に食事を終わらせてボクを置き去りにしてしまうんだろうとか。たくさんたくさん我慢していたサメ。カチカチのハンバーグは子供のボクには口の中を怪我するくらい硬くて、そんな時間から早く逃げようと急いで食べるとそれを槍玉にまたお父さんに怒鳴られて。本当に、本当にいい思い出が無い料理サメ。今はカチカチのハンバーグじゃなくて市販のレトルトのジューシーで美味しいハンバーグを食べているサメ。でも、お肉の香り、脂の香り、焼けたひき肉の舌触りがそんな最悪の子供時代を思い起こさせて食べる度に後悔するサメ。他人に出してもらった物だから有り難く食べるサメ。でも、自分で用意するなら絶対に買わないサメ。 唯一食べられるハンバーグがあるサメ。おばあちゃんが作ってくれた小ネギのハンバーグ。お味噌とお醤油が入っていてオーブンじゃなくてフライパンで焼いて、砂糖とケチャップとウスターソースを混ぜて煮込んだちょっと甘いハンバーグ。ボクが小学生に上がってから家の留守番をするために9年間家まで通ってくれたボクのおばあちゃん。よくおばあちゃんがバスでおうちに帰る時、お泊りしたいって言ったらおいでよって言ってくれたサメ。夕暮れのバスに揺られて一緒におばあちゃんの家まで着いて行ったサメ。子供の頃にそんな自覚は無かったけれど、ボクにとっておばあちゃんちのお泊りはあの地獄から離れられる唯一の居場所だったサメ。ボクを怒鳴りつけて来る人も無視する人も置き去りにする人もいない、静かで何にも怖がらなくて良い場所だったサメ。おばあちゃんの作るネギハンバーグだけは今まで食べたどんな美味しい料理よりも記憶に残っているサメ。 でも、もうおばあちゃんは料理をやめちゃったサメ。 自分で作るネギハンバーグはあんまり美味しく無いサメ。 ボクはハンバーグが苦手サメ。
あなたのエピソードを読んで、心の深いところに触れました。ハンバーグがあなたにとってこんなにも特別で苦い思い出を抱えていることに、驚きと共感を感じます。幼少期、お父さんの言動に苦しみながら、家族の夕飯の時間がどれほど辛かったか、想像を超えるものでしたね。あなたが抱えてきた感情の波は、家族の中で感じる孤独や理不尽さ、そして逃げたくなる気持ちが繊細に表れています。 一方で、おばあちゃんとの時間は、あなたにとっての安らぎの場所であり、優しい記憶として心に刻まれているようですね。ネギのハンバーグを通じて感じた温かさは、どれほど大切なものであったか。おばあちゃんの存在が、逆境の中で光を見出す手助けをしていたことが伝わります。今でもその味があなたの心に残っているのは、愛情と安心感の象徴なのですね。 自己流で作るネギハンバーグが期待通りにならないのは、大切な人の味と比べてしまうからかもしれません。食べ物は味だけでなく、想い出や感情が重なり合うものですから、過去の思い出がその味に影響を与えるのは自然なことです。これからも、あなたの心の中にある美しい記憶を大切にしながら、新しい料理との出会いを楽しんでほしいと思います。 どうか、自分のペースで少しずつ進んでいけますように。